21.09.2018

論文「ドイツの自動車産業の未来-「Disaster」がもたらす変化か、「Design」による変革か?」

中国やシリコンバレーでデジタルモビリティという新しいコンセプトが生まれる一方で、環境保護の観点からディーゼル自動車を禁止する動きが見られる中、ドイツ経済の中核である自動車産業は困難に直面しています。政治には、利害関係者同士の対話を主導するとともにモビリティの変革をサポートすることで、モビリティの未来協定とドイツの自動車産業の変革を実現させることが求められます。

全世界で、20世紀に確立された自動車モビリティのロールモデルが消滅しつつある。経済、雇用、イノベーション、政治の側面で非常に重要な意味を持つドイツと欧州の自動車産業には、今大きな重圧がかかっている。この現象は、自動車業界が拡大路線を取り、売り上げと雇用と輸出を伸ばす中で起きている。

強力かつ全世界に影響を及ぼす巨大トレンドに、都市化する輸送・交通市場における新しいモビリティの需要。そして、勃興するIT業界や中国の産業政策目標が引き起こした、前例のない競争。これら全てが、私達のモビリティに変化を起こしている。これに伴って発展する電気自動車、ネットワーク、自動運転等の技術、そしてシェアリングモビリティが、自動車モビリティに革命を起こすとともに新たなモビリティを生みだすだろう。化石燃料エンジンに代わる電動機と蓄電のコンセプトや、人間が運転しなくてもよいような、補助・自動・自走機能を備えた車も登場する。また、車を所有する代わりに、新しい形のビジネスモデルと販売方法からなる、デジタルプラットフォーム型経済が台頭するだろう。

ドイツを含む欧州の自動車産業では、これらの変化が積み重なって需要と供給に劇的な変化が起き、これまでのビジネスモデルに疑問を投げかけることになる。自動車政策上の規制と企業の内部体制を変えるだけでは、もはやこの変革に対応することはできない。政治、企業、労働組合、消費者が協力して、自動車モビリティの転換を推し進めなければならない。

これを成功させるには、企業、政治、社会それぞれにおける戦略を、社会全体の輸送・交通変革実現という目標で融合する、「モビリティ未来協定」が不可欠である。

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